BCG
BCGは結核菌の感染を予防するために行われます。以前はツベルクリン検査を行ってからBCGを接種していましたが、平成17年4月以降、生後3か月から生後6か月未満の赤ちゃんを対象に、ツベルクリン検査を行わずBCGを接種することとなりました。これは乳児期早期に見られることの多い結核性髄膜炎を予防するためです。BCGを接種すると結核性髄膜炎を80%、肺結核を50%予防することができるとされます。BCGの接種は、ワクチン溶液を赤ちゃんの上腕に塗布しその上からスタンプを上下に2回押すことにより行われます。ワクチン溶液の乾燥に10分程度かかりますが、この間ワクチンが周りにつかないように注意して下さい。通常接種2~3週間で、接種したところに赤いポツポツができて小さくうみを持ちます。接種4週間後くらいに最も強くなりますが、その後かさぶたができて接種3ヵ月までに自然に治ります。赤ちゃんにとってBCGが初めての予防接種であることも多いため、接種時には十分な問診、説明の時間をとりたいと思います。3ヵ月健診後にBCG接種を受けられても良いかもしれません。
乳児検診
赤ちゃんは生後1年の間に急速な成長と発達をとげます。乳児健診の目的は、疾患を見つけることだけではなく、赤ちゃんの順調な成長、発達を確認していくことにあります。乳児健診は毎月1回受けるのが理想的ですが、少なくとも生後1ヵ月、4ヵ月、7ヶ月、10ヵ月、1歳時の健診は必ず受けるようにお勧めします。通常生後1ヵ月健診は出産した病院で、生後4ヵ月健診は公共機関による集団検診として行われると思われますので、生後3ヵ月時にかかりつけ医で健診を受けるのが良いと思います。この健診で生後からの順調な成長、発達を確認すると共に、今後の健診および予防接種のスケジュールも確認すると良いでしょう。当院では栄養士による栄養相談も並行して行いますので、離乳食の進め方についても相談してみて下さい。
生後4、7、10ヵ月は発達のキーポイントと言われる月齢です。それぞれ首の坐り、座位の確立、つかまり立ちをチェックします。母子手帳に成長、発達、体つきの記録をしますので必ず持参して下さい。育児には疑問に思うことも多いと思います。どんな些細なことでもかまいませんので気軽にご相談下さい。
4-5ヶ月頃より排便回数が減少してくることがあります。2~3日排便がなくてもお腹がはったり、哺乳力低下や不機嫌などの症状がなければ心配はいりません。しかし4日以上排便がなく、苦しそうな表情があれば綿棒浣腸などで排便を助けてあげると良いでしょう。肛門を刺激しても排便がない場合はグリセリン浣腸が必要な時があります。また便秘を予防する対策も必要なため、一度受診されることをお勧めします。便が硬く排便時出血が見られるときは早めに受診して下さい。
綿棒浣腸
綿棒の先にベビーオイルを少量付け、肛門の周辺を綿棒でちょんちょんとつっついてあげて下さい。肛門の近くに便があれば、この刺激だけで排便できます。出ないときは綿棒を1cmほど肛門に入れて10秒ほどゆっくりとまわしてから綿棒をぬいてみて下さい。これで排便がなかったらもう一度トライしてみて下さい。
便秘予防対策
食事の工夫 水分の摂取量を増やし繊維質を多めに与えてみて下さい。母乳やミルクが十分摂取しているのに便秘になる場合はオレンジ果汁をあげてみて下さい。離乳食が開始されていたら食物繊維の多い野菜やイモ類を多く使用すると良いでしょう。プルーンなどは特に便秘に良いとされています。食事のみで不十分な場合はマルツエキスを試みるのも一つの方法です。 生活の工夫 排便を助けるため、おむつを替える時にお腹を「の」の字を書くようにマッサージしてあげて下さい。昼間はできるだけ体を動かすようにさせて下さい。
皮膚の弱い赤ちゃんにとって高温多湿の夏期には紫外線対策とあせも対策が必要となります。
紫外線対策
赤ちゃんの皮膚は薄いため紫外線は深層まで達し皮膚の機能を障害します。したがって夏は紫外線の強い午前10時から午後2時までの外出をなるべく控えましょう。外出するときはつばの大きな帽子をかぶる、皮膚の露出を控える、日焼け止めを塗るなどの対策をとって下さい。
日焼け止め
赤ちゃん用の日焼け止めが各種市販されています。お出かけにはSPF10~20程度のもの、海やプールはSPF30くらいのものがお勧めです。赤ちゃん用の日焼け止めはベビーソープで簡単に洗い流せるようにできているので、持続性が少し劣ります。長時間外出する時は2~3時間ごとに塗り直すと良いでしょう。
あせも対策
赤ちゃんは汗をかくことで体温調節をしています。そのため夏はあせもがよく見られます。あせもを作らせないためには室温の調節と皮膚の手入れが重要です。室温調節にはクーラーをうまく利用しましょう。(通常室温26-28度、湿度50%が目安となります。室内環境も考え適宜調節して下さい。室内温度を一定にするため扇風機の併用も有用です。) 皮膚を清潔に保つためにこまめに着替えをさせて下さい。着替えができない時は綿のタオルなどを背中に挟んであげるのも有効です。皮膚に汚れを残さないためにも入浴、シャワーは大切です。1日1回はベビー用の石けんで洗ってあげて下さい。
軟膏治療
夏でも入浴後の保湿剤の塗布は必要です。またあせもが広範囲で掻痒感が強い時には軟膏治療が必要になります。保湿剤、軟膏とも夏用の製剤がありますのでご相談下さい。