細菌増殖に適した高温、多湿な6月から9月にかけては細菌による食中毒が多くなります。食中毒の予防には細菌を「つけない」「増やさない」「殺菌する」が重要です。ただ食中毒の半数強は飲食店で発生しています(家庭内10%。) 夏の外食時には、生ものの摂取は避け、十分加熱された食べ物を取るように心掛けてください。
細菌をつけない
まな板、包丁、ふきんなどは熱湯や漂白剤で殺菌しましょう。細菌付着の可能性のある手指の手洗いはしっかりしてください。食べ物と調理器具・容器を分けて作業および保存をしてください。
細菌を増やさない
料理に使う食材は低温で保管して下さい。 調理後の料理は早めに食べるか、低温で保管してください。
細菌を殺菌する
多くの細菌は過熱に弱いため、食品の中心部までしっかり加熱してください
症状は嘔気、嘔吐、腹痛、下痢 発熱などです。ご家族内でお一人のみ発症する場合も、複数名が同時に発症する場合もあります。同じ食物を摂取していてもお一人のみ発症の場合もありますので、発症人数のみで食中毒を否定することはできません。
受診の目安ですが、乳幼児のお子様は抵抗力が弱いため、嘔吐が複数回見られた時は比較的速やかに受診されることをお勧めします。またどの年齢の方も高熱(特に38度以上)、強烈な腹痛、粘血便(いちごジャム様)等重症を疑う症状が認められた時は早めに受診してください。
症状の軽減と脱水への対処が重要となります。嘔気、嘔吐に対しては制吐剤があります。幼小児で経口不可能な場合、座薬での投与が必要になることもあります。腹痛が強い時にはブスコパン等の鎮痙剤を使用します。通常の鎮痛剤(カロナール、ロキソニン等)は腹痛には無効です。高熱、強烈な腹痛など重症には抗生剤が必要な時があります。血液検査を施行すると重症度が判明しますので重症時には早めの受診をお勧めします。脱水予防には経口補水液摂取が有用ですが、病初期にいっぺんに多量摂取すると嘔吐を誘発するため初期には少量ずつ摂取してみてください。下痢に対しては整腸剤を使用します。普通便排出が確認されるまでは内服したほうが良いでしょう。 また下痢では食事内容も重要です。主食はできればお粥、あるいは日本うどんが良いと思います。副食は白身の魚、鳥のささ身、お豆腐、白物野菜を焼くか煮るかしてあげてください。油を使用した揚げる、炒めるの調理法は避けてください。
感染型と毒素型に分類されます。
・感染型(サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオなど)
飲食により体内に入った細菌自体の増殖により発病する。発症までの時間が比較的長い。
・毒素型(黄色ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌、セレウス菌など)
細菌によって産生された毒素を摂取することにより発病する。感染型より発症までの時間が比較的早い。毒素が熱耐性の場合加熱した食材でも発症する。短時間で多人数が発症する危険性がある。
サルモネラ
十分に加熱していない卵、肉、魚が原因となります。特に十分加熱していない卵料理(卵焼きなど)が原因となることが多いです。また夏にはお祭り屋台の焼き鳥にも注意してくささい。菌は乾燥に強く35~40度の温度帯で活発に増殖しますが加熱には弱いため食材を十分に加熱(中心部を75℃で1分)すれば感染は防げます。
カンピロバクター
牛や豚、鶏あるいは犬や猫の腸にいる細菌です。この細菌が付着した肉類を生あるいは十分加熱せずに摂取すると発症します。細菌性食中毒の中では最も患者数が多い菌です。菌数が少なくとも(100個程度)発症するため、焼肉などでお箸、トングなどを介しての感染が見られることもあります。発症までには数日かかることが多く、初期症状は発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感等で、比較的重症での発症が見られます。また発症数週間後に手足の麻痺(ギランバレー症候群)を発症することがあり注意が必要です。
腸炎ビブリオ
主に海水中に生息する細菌です。そのため刺身やお寿司が原因となります。発症は摂食後8~24時間と比較的早いです。菌は加熱、真水に弱いため、魚介類摂取時には十分加熱するか、生食の場合はなるべく低温で保存し、調理前に真水で洗うと良いでしょう。
ウェルシュ菌
人や動物の腸管や土壌に広く分布し、酸素の無いところで増殖し芽胞を形成します。この芽胞は耐熱性のため調理後料理が冷めはじめ45度以下になったころに細菌の増殖が始まります。したがって調理後2日目ごろの残り物を摂取して発症する可能性があります。カレー、煮魚、野菜の煮つけなどで発症することが多いです。本症は細菌の産生する毒素により発症しますが、毒素産生は細菌が体内に入った後に始まります。夏期には調理済み食材は常温で長時間保存せず速やかに冷蔵保存してください。
黄色ブドウ球菌
自然界に広く分布し人の皮膚、鼻や口にいる菌です。傷のある手で食物を触わったりすると菌が付着し、おにぎり、お寿司など加熱後に手作業で作成される食物の摂取で発症します。この菌が産生する毒素は耐熱性であり、毒素が一旦産生されてしまうと加熱しても無効です。食後30分から数時間で発症します。家庭内では調理時の手洗いが重要です。
腸管出血性大腸菌
5つに分類される大腸菌の一種です。ベロ毒素を産生し、重症の場合、激しい腹痛、頻回の水様便又は頻回の血便(下血)で発症します。食物摂取から2~7日経過して発症します。菌数が少なくとも(50個程度)発症し、強毒性のため家族内二次感染が起きやすく注意が必要です。軽症の場合もありますが、乳幼児や小児、高齢者は重症化しやすく、生命にかかわることもあり血便が見られた場合は医療機関を受診してみてください。
セレウス菌
この菌は穀類、豆類などに付着しており、チャーハンやピラフ、パスタなどが原因となります。
菌が付着した米を炊飯後に長時間放置すると菌が毒素を産生します。この毒素を摂取して発症します。この毒素は耐熱性で毒素が産生された後では加熱は無効です。夏期には米飯、麺類は作り置きしない方が賢明です。